2014/10/07

今月の歌舞伎











































十月大歌舞伎

ずばり
十七世 中村勘三郎 二十七回忌
十八世 中村勘三郎 三回忌    追善




であります。

私が拝めたのは夜の部の三演目で、

特にお目当てが
"寺子屋"菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
"鰯売り"鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)でありました。


すべて配役が超豪華です。
さすが勘三郎さんの追善興行。


これどれくらい凄いかを個人的に例えると
いいともの最終回SPでタモさんへの杯へ
ナイナイがいる所にさんまさん、ダウンタウン来たぞくらいの感動です。




そして一番観てみたかった"寺子屋"が配役がこれまた素晴らしい訳でして
贔屓しております中村屋と共に、
松王丸を上方 片岡仁左衛門丈、そして千代さん役が天下の坂東玉三郎丈であります....悶絶




なぜ寺子屋を観てみたかったかといえば、
十八代勘三郎さんが亡くなる直前、
呼吸器を外して最期に発したのがこの松王丸の笑い、泣きのシーンだったそうです。

最期まで歌舞伎役者だった、
現代ではこんなお話はめったに起こらないであろうエピソードであります。

ここまで自分の人生そのものを芸に捧げている様がこの前の内田先生と言う所の体を張るとも似ていて
観ているこちらに華やぎと力と目に見えないとても強いものさえを与えてくれる人であります。

勘三郎さんは、そんな逸脱した役者さんなのです。






さてその寺子屋ですが、
実際観てみたら、あらすじもなかなかヘビーで
豪華キャストも相まって凄い重厚感の中で仁左衛門さんのこのシーンとなった時に、
相まって勘三郎さんのそれを思い出しまして、
一人号泣でありました。
まわりからもすすり泣く声が聞こえてきましたが、
大きく抜けた空間で、静かに観客さえ全員の気配が分かって、
その観客さえすすり泣いたり、
何か強い感情を思っているだろうと伝わる
あの空気感の歌舞伎座を体験したのは初めてでした。
その中で、双眼鏡持って号泣している私の姿は想像しないで下さい。




素晴らしかったです。






そして幕間中。
やや方針となってしまった為に手元がすべって、
隣の座席にフタの開いたビールを落としてしまったのです。
蒼白....






これまた半泣きで係の方へ知らせたら、
にっこりと優しい係の方の目がキリッと変わり、
「まじで怒られる...!むしろ怒ってくださいっ!」と思った矢先、
もの凄い手際の良さで修繕係の方を呼び、
なんと座席の席ごとブチ抜いて交換を始めたではありませんか。




まさか席ごとブチ抜くとは思っておらず唖然としている私の横で、
そこへ座られる方を別場所で待機して頂く手筈を揃え、
さらには、
「お客様にはかかっておられませんか?
もったいなかったですよねぇビール...。ビール、美味しいですもんね♡」

と優しい目に戻り、
私みたいな犯罪者にまでお優しいフォローをして下さったのです。
キリッと目が変わったのは、幕間中にミッションをこなすプロの目でありました。

なんと... 超絶ホスピタリティであります。





何事もなかったかのように席が美しく整えられ、
そこの席の方もとてもお優しい方で
「綺麗になって嬉しいです」
とまで言って下さって、

私はまた涙したのであります。

もう二度としません。
この大切な歌舞伎座でご迷惑を掛けた大罪を胸に、
改めて心からの懺悔。
皆さんも行かれた際には、プルトップを開けた缶には十分ご注意下さい。貴様だけだ







そんな舞台も座席も激動の中の最期の演目、
"鰯売り"は三島由紀夫が書き下ろした作品で、
三島らしいすっとんきょうでかわいくって愉快な作品でした。



これは玉様がやっていた"蛍火"という役を七之助さんが勤める事で
なかなか感慨深い舞台ともなっていたのであります。



もう最初から幕間中、そして最後まで濃ゆく、
舞台、座席共々
人情をもすんばらしく贅沢な時間でありました。


今月もこんなにもの贅沢を
本当にありがとうございました...涙







一階席のお二組。
理想の老後風景と共に。